受験の動機
今回は、技術士二次試験合格体験をお伝えします。
皆さんは、どのようなきっかけで総合技術監理部門の技術士を目指し始めたでしょうか?
上司からの勧め、尊敬する先輩が保有していた、自分自身のスキルアップ——その動機はさまざまだと思います。
一般部門の延長線上で、総合技術監理部門にもトライしてみたという方が多いのかも知れません。
専門を離れたマネジメントも今後必要になってくるスキルなので、重要な資格であることは間違いありません。
受験申込書の準備
技術士試験における申込書の作成は、単なる事務手続きではありません。
一般部門同様に、この時点で試験はすでに始まっていると考えるべきです。
特に「業務経歴票」の記載内容は、筆記・口頭の双方に強く影響します。
必ず先輩技術士、できれば現行制度で合格した方に添削を依頼しましょう。
旧制度と異なり、現在の試験ではコンピテンシー(実務遂行能力)が重視されます。
申込書の完成度が低いと、筆記試験を突破しても口頭試験で太刀打ちできなくなる可能性が高くなります。
特に、総合技術監理部門の場合は受験申込書の書き方を教えてくれる人は少ないと思います。
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筆記試験の準備
筆記試験の準備期間は人によって異なります。
総合技術監理部門の場合、併願を除いて全ての受験者が技術士であり、合格率は一般部門よりも高いものの合格に向けた競争は厳しいです。
一般部門と同様ですが、未受験であれば、年明けからの準備が望ましく、過去に数回受験している方であれば、ゴールデンウィーク明けから本格的に始めても間に合う場合があります。
一般部門と異なるところは、総合技術監理部門は専門的学識を求められていないことです。
この概念は大変重要で、多くの技術士が専門的学識から回答する傾向にあります。
総合技術監理部門はマネジメントです。
5つの管理技術(経済性管理、人的資源管理、情報管理、安全管理、社会環境管理)を用いて課題を解決するという書き方が重要になります。
出典:日本技術士会
試験構成(共通)
- 問題Ⅰ-1(択一式):「総合技術監理部門」に関する課題解決能力および応用能力に関する暗記問題である。
合格基準は6割なので、40問中24問以上は正解する必要がある。 - 問題Ⅰ-2(記述式):「総合技術監理部門」に関する課題解決能力および応用能力に関する論文形式の問題である。
問題文は難しく書かれており、総合技術監理部門の技術士としてマネジメントの観点から回答する必要がある。
記述分量と時間配分の目安
- 問題Ⅰ-1:120分(回答110分、見直し10分)
- 問題Ⅰ-2:210分(骨子20分、記述180分、見直し10分)
最大で原稿用紙5枚(約3,000字)を3.5時間で書き上げる必要があります。
普段パソコンに慣れている方は、手書きの訓練を怠ると本番で腕がつらくなるので要注意です。
ぶっつけ本番ではまず書ききれません。
「記述士」と呼ばれる理由がよく分かる試験です。
口頭試験の準備
筆記試験を通過したら、次は口頭試験です。
面接官は、業務経歴票の内容を読み込んだ上で質問をしますが、一般部門とは異なり、どんな質問が来るかは全く見当もつきません。
専門的な話に直結する質問であったり、社会情勢、経済、教育に関する質問なんかもあります。
重要なのは、面接官に「この人は5つの管理技術を使って総合技術監理部門の技術士として必要な専門知識と応用能力を持っている」とわせることです。
これが意外と難しく、技術士である受験者は技術に詳しいので、どうしても技術的な視点から回答してしまうのです。
なお、口頭試験は「落とす」ための試験ではありません。面接官はあなたの筆記答案を読んだ上で、合格ラインに達していると判断したからこそ面接に呼ばれているのです。
そのため、面接で必要以上に反発したり、制度批判を述べたりするのは逆効果です。
議論は合格後に、堂々とすれば良いのです。
技術士の登録
合格発表は例年3月、官報に氏名が掲載されます。
この時点ではまだ「技術士(総合技術監理部門)」ではなく、登録事項の変更手続きが完了して初めて名乗ることができます。
名刺やSNSで技術士を名乗るのは登録完了後にしましょう。登録前に名乗ると、30万円以下の罰金の対象となる可能性もあります。
おわりに
以上、技術士の部門追加登録までの流れと、各フェーズでの注意点・準備内容をお伝えしました。
技術士試験は年単位の長丁場ですが、確実に合格へ向かうためには戦略的な工程管理が不可欠です。
自らの業務経験をもとに、「考えて書く力」を磨きながら、計画的に進めていきましょう。
合格までの伴走支援は、お気軽にご相談ください!
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